重要なサステナビリティ課題 E PLANET

東京都競馬グループが思いを馳せる空間とサステナビリティ

当社グループは、公営競技場、レジャー施設、倉庫、ショッピングモールやオフィスビルといった空間(施設・設備)を所有・管理する企業であり、私たちの空間では、競馬やオートレースの開催や(※)、遊園地、プール、アウトドア施設の営業が行われており、主に、エネルギーや水の利用、地域の森林資源の利活用、入居テナント(主に飲食店)による廃棄物などの環境への影響があり、これを重要なサステナビリティ課題として認識しています。

当社グループにおける事業課題の1つに環境への影響と併せて事業継続性を考慮した対策があります。施設のクローズや魅力低下を招くことは、経営戦略上の重要なリスクであると認識しています。
具体的には、売上の80%近くを占める公営競技場とレジャー施設は、屋外施設であることから、悪天候は施設のクローズ要因となります(気候リスク)。さらに、ウォーターパークが中心のレジャー施設では、水源の100%に地下水(天然水)を利用していることから、水資源の枯渇は、施設のクローズ要因となります(水リスク)。加えて、自然に囲まれたレジャー施設において、森林や河川など地域の自然環境を保全することは、施設の魅力を維持する重要な要素です。
また、当社グループの空間では、飲食の提供を行っており、容器類の脱プラスチックや廃棄物削減を取り組むべき環境課題として認識しています。

  • 大井競馬場及び伊勢崎オートレース場での競馬・オートレースの開催は、それぞれ特別区競馬組合・伊勢崎市が行っており、当社は関連施設を各主催者に賃貸しています。
区分 売上高(2023年度)
公営競技事業 27,442百万円
遊園地事業 3,202百万円
倉庫賃貸事業 5,233百万円
サービス事業 2,235百万円

温室効果ガス排出量削減の取り組み

当社グループの空間では、競馬やイルミネーション、遊園地、物流倉庫、ショッピングモールなどを展開しており、主に照明や空調設備を通じて電力エネルギーを使用しております。このためLED照明、高効率型空調機や高断熱材などを導入し、エネルギー使用の最適化・効率化を図っています。また、屋上緑化やリサイクル建設資材の利用などを通じて、環境にやさしい施設となるように努めるほか施設管理会社として、入居テナントと連携し、環境負荷低減の取り組みを行っています。

主要な空間における温室効果ガス排出量の削減の推移

大井競馬場(温室効果ガス排出総量削減義務と排出取引制度の対象事業所)

公営競技事業の主力である大井競馬場では、入居テナントと連携してエネルギー使用の最適化・効率化を念頭におき、削減対策を実施しております。また、目標達成に向けて、LED照明やコージェネレーションシステムを導入するなどしています。

<再生可能エネルギーの導入>
当社グループは、脱炭素社会の実現を目指し、第3次中期経営計画に掲げる「社会課題への対応」に関する施策の一つとして、2021年10月より大井競馬場内の電気については、火力発電を主体とするものから、東京23区内の清掃工場で処理される廃棄物の焼却に伴い発生する排熱を利用して作られる電気(バイオマス発電)に転換いたしました。場内で使用する電気を実質再生可能エネルギー100%(一部地区を除く)とすることで、CO2排出量は大きく減少し、環境負荷の低減に貢献しております。

東京サマーランド(温室効果ガス排出総量削減義務と排出取引制度の対象事業所)

東京サマーランド

東京サマーランドは、東京都あきる野市に位置する遊園地であり、主に照明や空調設備を通じて電力エネルギーを使用しています。また、LED照明の導入などを通じて環境にやさしい空間づくりに努めています。

施設 LED照明器具
本館 ・入口風除室・吹き抜け照明・地下1階~3階事務所及び従業員用通路・ローズルーム・地下ロッカー・2階ロッカー・その他、1階エントランスを含む地下1階~3階照明について順次LED照明化
ゴルフ練習場 場内照明
その他 秋川沿い街路灯

ゴルフ練習場

本館2階ロッカー

その他気候変動の緩和の取り組み

伊勢崎オートレース場

伊勢崎オートレース場は、群馬県伊勢崎市に位置する面積約11万㎡のオートレース場であり、近隣にはホームセンターや多くの飲食店が立地するなど地域に根差した環境にあります。また、新たなオートレースファン獲得のため、近年では家族連れや若者を呼び込むイベントや子ども向け遊具のリニューアルなど施設の魅力の向上に努めており、市民の「憩いの場」となることを目指しております。
施設面では、グリーンスタンドや事務所棟、場内外灯のLED化が完了しており、2024年には競走車保管庫棟のLED化を予定しております。

施設 LED照明器具
伊勢崎オートレース場 グリーンスタンド:LED照明に交換済み
事務所棟:LED照明に交換済み
場内外灯:LED照明に交換済み
競走車保管庫棟:2024年に変更予定

グリーンスタンド

物流倉庫

倉庫賃貸事業では、東京都品川区勝島第1・第2・第3地区、大田区平和島地区、千葉県習志野地区にて、トータル約36万㎡の物流倉庫施設を賃貸しています。大手物流企業への一棟貸しを中心に、マルチテナント型も展開しています。
物流倉庫施設では、主に照明や空調設備を通じて省エネルギー化を図るとともに、勝島第1・第2地区においては、出光グリーンパワー株式会社様より再生可能エネルギー100%の電力を導入し,CO2排出量削減に寄与しております。

地区 延床面積 (m2) LED照明器具 その他
高効率型空調機 断熱材や
リサイクル建設資材の利用
屋上緑化
勝島地区 204,105.68 第1地区5号倉庫:
全てLED照明器具を採用
第1地区2、3号倉庫:
全てLED照明器具へ交換済み
第3地区 流通センター、配送センター:
全てLED照明器具へ交換済み
第1地区5号倉庫 第1地区
5号倉庫
第1地区
3号倉庫
5号倉庫
平和島地区 65,491.14 LED照明器具へ交換
習志野地区 87,885.42 茜浜1号、2号倉庫:
全てLED照明器具を採用
茜浜1号、2号倉庫 茜浜1号、2号倉庫

3号倉庫内

3号倉庫屋上緑化

ショッピングモール「ウィラ大井」/オフィスビル「ウィラ大森ビル」

ウィラ大井は、大井競馬場に隣接するショッピングモールです。日用品の販売やサービスの提供、飲食店を展開しており、近隣住民のみなさまの生活の基盤となっています。ウィラ大森ビルはJR大森駅に隣接するオフィスビルであります。
ウィラ大井・ウィラ大森ビルでは、主に照明や空調設備を通じて電力エネルギーを使用しています。

施設 LED照明器具 その他
ウィラ大井 ・共用部(街灯・屋上照明・屋内一部共用部)
・駐車場
・テナント専用部
 →各テナントにより実施
ゴミの分別呼びかけ
壁面緑化
ウィラ大森 ・テナント(2F~9F)専用部
東京プロパティサービス事務所 ・事務所1F執務スペース

ウィラ大井共用部

ウィラ大井共用部

小林牧場

小林牧場は、千葉県印西市にある面積約51万m2の広さを誇る、競走馬の育成と休養馬の収容を目的とした牧場です。自然に囲まれていることで、馬に優しい環境でもあります。
各施設は馬場照明のLED化をはじめ、牧場内の街路灯等も順次変更予定です。また、地方競馬の活性化のための強い馬づくりを目的として作られた坂路は、ニューポリトラックを使用しておりグリップ性・クッション性に優れ、降雨による流出がなく低温でも凍結しにくいなど安全性も考慮されています。
さらに、定期的に入れ替える必要がないため、長期サイクルでの利用が可能となり、環境に優しい素材です。

施設 LED照明器具 その他
小林牧場 馬場内:全てLED照明器具を採用
牧場内:大部分にてLED照明器具を採用
自然に囲まれた馬に優しい環境
坂路はニューポリトラック:安全性と環境を考慮

調教用馬場

調教用坂路

水資源の保全の取り組み

各施設の取り組み

大井競馬場では、場内で排出される汚水を競馬場内にある雑用水設備で微生物による分解処理(活性汚泥処理)と紫外線殺菌を行い、汚れや油分を取り除く処理がされた後に、L-Wingをはじめとする各スタンドに送り、トイレの洗浄水として再利用しています。雨水についても樹木潅水用として利用するために貯水タンクを設けています。

東京サマーランドでは、水源の100%に井戸水を利用しており、井戸水は、自社の浄水場でろ過・殺菌して園内の飲料水・プール水・トイレ水・散水などとして利用しています。敷地内から出る汚水については、敷地内の汚水処理場で100%処理して河川へ放流しています。
また、~秋川と暮らし、共に生きる~の想いのもと、地域の川を清掃し美化することで、森林の保全や海の美化にも繋がるという意識を社員で共有し、秋川を清掃・美化する「秋川クリーンアップ活動」を実施しています。地域の観光資源を守るとともに、ゴミに対する意識を深めること、地域の皆様とのコミュニケーションの場となることも目的としています。

東京サマーランド 本館汚水処理場

秋川クリーンアップ活動

森林保全の取り組み

東京サマーランドは、約128haの敷地面積を有し、そのうち約28haが遊園地等で利用し、残りの約100haが森林です。
森林資源の保全のため、当社は東京都森林組合に加盟し整備を進めるとともに、複数の賛同企業と協力して森づくりを進めています。

また、この森林には様々な規制等が掛かっていますが、それに伴う違反・罰金はありません。

ハイキングコース

「サントリー天然水の森 とうきょう秋川」

東京サマーランドは、サントリーホールディングス株式会社が行う「天然水の森」の活動に賛同し、2014年より同社と協同して、敷地内の約81haの森林整備活動を行っております。また森林整備により発生した間伐材で作ったベンチをわんダフルネイチャーヴィレッジ園内に設置するなど、間伐材の有効活用を図っております。
2023年には、東京サマーランド園内に天然水の森の取り組みに関するPRブースを設置し、来園者に向けて森林整備の意義や活動内容の発信を行っております。さらに同年10月には「サントリー天然水の森 とうきょう秋川」が「自然共生サイト(※)」として、国からの認定を受けました。

  • (※) 2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようと「生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)」にて新たな世界目標「30by30」が樹立されました。これらを背景に、環境省では、企業の森や里地里山、都市の緑地など「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を「自然共生サイト」として認定する取組を令和5年度から開始しております。
面積 約81ha
協力団体 サントリーホールディングス株式会社

サントリー天然水の森 とうきょう秋川(外部サイトへ)

「企業の森」

東京サマーランドでは、多摩地域のスギ・ヒノキ林を花粉の少ないスギなどに植え替える「花粉の少ない森づくり」に賛同し、外部の賛同企業とともに森づくりを進めております。健全な森林を次世代に継承し、地球温暖化防止にも貢献いたします。

協力団体 公益財団法人 東京都農林水産振興財団 面 積
賛同企業 富士通株式会社 0.73ha
サントリーホールディングス株式会社 0.99ha
日本事務器株式会社 0.21ha

公益財団法人 東京都農林水産振興財団(日本事務器・あきる野引田 企業の森)(外部サイトへ)

公益財団法人 東京都農林水産振興財団(富士通グループ・あきる野引田 企業の森)(外部サイトへ)

あじさいを通じた地域連携

東京サマーランド内にある、わんダフルネイチャーヴィレッジあじさい園では、あきる野市の2大あじさいスポットである南沢あじさい山と「秋川渓谷あじさいまつり」等を実施することで、地域と共にあじさいの街づくりを推進しています。

アナベルの雪山

あじさいの剪定作業

小林牧場 桜並木保全活動

小林牧場では、春に入口からロータリーまで約700メートルの見事な桜並木が咲き誇ります。当社はこの桜並木の定期的な枯枝の剪定、樹木医の診断、危険木の伐採、植樹を行い桜並木の保全確保に努めることで、印⻄市観光協会主催の桜まつり実施に協力し、来場者の方に美しい桜の景観をお楽しみいただいております。

こちらの桜の景観は、印⻄市観光協会が「新印⻄⼋景」のひとつして指定しているほか、千葉県選定の「房総の魅力500選」に選ばれています。

しながわ花海道

勝島運河の防潮堤に「花畑を作ろう」と立会川商店街と鮫洲商店街が中心となって2002年から始められた緑化プロジェクトである「しながわ花海道」の活動に参加し、季節にあった花の種まきを行っています。魅力ある勝島運河周辺の街づくりを目指しています。

脱プラスチックや廃棄物削減によるサーキュラーエコノミーの取り組み

東京サマーランドおよび大井競馬場内の一部飲食サービスを管轄する東京プロパティサービスでは、直営店舗ならびに入居テナントによる飲食の提供を行っており、2022年より、飲食提供用の容器類をプラスチック製から紙製・木製・バイオマス製へと順次切り替えを行っております。
また、飲食の提供に伴って発生する廃棄物を、再生可能エネルギー発電の発電燃料や再生プラスチックなどへと転用を行う専門の収集業者に処理を依頼するなど、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みを実施しております。

サマーランド園内で使用している容器類

大井競馬場内で使用している容器類

その他の環境活動

馬場クッション砂の入れ替えと洗浄

大井競馬場の馬場に敷かれているクッション砂は、レースだけでなく競馬場内にある厩舎所属の競走馬の調教にも使用されるため消耗が激しく、レースの公正と安全確保という観点から定期的に入れ替えを実施しています。
現在、馬場に使用する砂はオーストラリア アルバニー産を使用していますが、環境保護の観点から内馬場で砂を定期的に洗浄し、再利用する予定でおります。

砂洗浄プラント

環境教育

東京都競馬グループでは全役職員に対し、地球温暖化防止および節電の取り組みとして「スーパークールビズ」を実施し、従業員の環境に対する意識向上を目的とした啓発活動を行っています。